ヤングケアラーについて考える
(ヤングケアラーの子供たちには、季節の移り変わりも見えてないかも…)
皆さんこんにちは。
昨夜のNHKニュース7を見ていて、いろんな意味で見過ごせないニュースと出会いました。
それは「ヤングケアラー」の問題です。
「ヤングケアラー⁉聞いたこともないよ…」という方もいれば、
「もしかしてあの子のこと?」と思い当たる節がある方もいるかもしれません。
今日はこの問題について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
◆そもそも「ヤングケアラー」って?
ヤングケアラーについてネットで検索してみると、こんな感じの意味らしいです。
ヤングケアラーとは、通学や仕事のかたわら、障害や病気のある親や祖父母、年下のきょうだいなどの介護や世話をしている18歳未満の子どもを指す。
家族の病気や障害のために、長期のサポートや介護、見守りを必要とし、それを支える人手が十分にない時には、子どもであってもその役割を引き受けて、家族の世話をする状況が生じる。介護のために学業に遅れが出たり、進学や就職を諦めたりするケースもあるといい、実態の把握が急がれている。
(ウィキペディアより引用)
ちなみに昨日のNHKニュースでは「17人に1人の割合で、ヤングケアラーが存在する」
という調査結果も報道されました。
17人に1人…ということは、1クラスを35人とすると
クラスに2人はヤングケアラーが存在することになります。
こうやって考えると、他人事ではないですよね?
私の想像だと、多分昔から一定数ヤングケアラーは存在していたと思います。
でも、様々な事情で表に出ることはなく、最近になって目が向けられた問題だと思います。
ヤングケアラーという言葉が使われる前、障害のある子どものきょうだいのことを
「きょうだい児」といって、きょうだい児であるが故に抱える問題などを
提起する人たちもいました。
かくいう私の妹も「きょうだい児」として成長してるので
ヤングケアラーの先駆けだったかもしれません。
◆妹の就活ノートに書いてあった衝撃の言葉
これは今から20年以上前、妹が大学生のときに書いていた就活ノートを
黙って読んでしまった…というあまり褒められない出来事がありました。
(妹、ごめん…)
そこに書いてあった言葉には、ヤングケアラーとして成長した
妹の苦悩がにじみ出ていました。
志望動機をまとめるための下書きに
「私には障がいのある姉がいて、両親だけでは面倒を見ることが難しいので、私が地元の企業で働くことで両親を助けたい」
という一言が書いてありました。
妹が小学生のころ(私が発病する前)、妹の夢は「イギリスに住むこと」でした。
それが私の病気がきっかけで、180度転換させられたとは…。
また、就活ノートの「悲しかった出来事」の欄には
「両親が姉の病名を知らされ、絶望感に打ちひしがれている姿を見たとき」と
書かれていて、妹を含めた家族が私の病気のことでどれだけ思い悩んだのか。
とくにこれから青春期を迎えようとしていた妹にとって、
私の病気は相当な重荷になったんだ…と思いをはせると、胸が痛くなります。
「私の世話をすることで、自分の夢をあきらめざるを得なくなった…」
ヤングケアラーとなった人たちにとって1番つらいことは、
きっとこれだと思います。
◆「誰にも打ち明けられない」つらさ
ヤングケアラーの役目を引き受けざるを得なくなったことで、
「私は周りの人たちとは違う存在なんだ」という思いでいっぱいになるのが想像できます。
周りの友達が友達との楽しい時間や、部活や勉強にいそしんでる横で
両親や祖父母、きょうだいの世話や介護のために
自分の時間を犠牲にするのは、本当につらいことだと思います。
愚痴をこぼしたくても誰にも言えない。
せめて受け止めてくれる人がいれば、どれだけ楽になれることでしょう。
介護保険や障がい福祉サービスなどの制度はあるけど、
その情報を手に入れることができなければ、せっかくの制度も意味がありません。
また、私たち専門職と呼ばれる存在がこの問題を知り、
ヤングケアラーに「あなたの支えになれる人たちがいるんだよ」ということを
伝える義務があると思っています。
もしこのブログを読んでいるヤングケアラーの皆さん、
もしくは「知り合いにヤングケアラーの人がいて、困ってるみたい」という皆さん、
まずは市役所や近所のお医者さんなど、誰かに相談してみましょう。
あとはSNSなどを利用して「私、困ってます」と発信すれば
誰かが反応して支援してくれる人につなげてくれるかもしれません。
絶望して1人で抱え込むことだけは、絶対にしないでくださいね。
そして、より多くの人が「ヤングケアラー」のこどもたちに
温かいまなざしと支援の手を差し伸べてほしいと思います。